書籍紹介

このページではお気に入りの本を紹介することによって皆様とつながっていけたらと思っています。

「食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんてホントは簡単」ハイデマリー・シュヴェルマー(著)角川書店

私はほとんどお金を使わずに生活しています。生きていくために必要な衣・食・住。多くの人々は、それを得るためにお金を稼ぎ、またお金を費やしています。お金は私たちにとって、なくてはならないものであり、それによって豊かで便利な生活が可能になりました。しかし一方で、貨幣経済は人間社会に不幸も、もたらしました。物々交換や自給自足で成り立っていた頃にはなかった不平等、不条理、搾取、略奪。あるいは環境破壊、過酷な労働によるストレスや不満……。あらゆるものの価値がお金で量られる社会では、お金が人を幸福にし、また不幸にするのです。でも本当にそれは正しいことなのでしょうか?

私がお金を使わないのは、決してお金を貯めるための節約ではありません。また失業してお金がないからでもありません。自ら所有と決別することで、消費社会によって失ったものは何なのか、今まで盲信していたことは本当に自分にとって正しいことなのかを探るためでした。世界には、まだ消費社会に属さずに生活している人たちもたくさんいます。しかし、私は自分の生まれ育った国、ドイツで「お金なしの生活」を実行しました。私の目的は、原始社会へ戻ることではなく、私たちが生活している社会の中で、新たなライフスタイルを模索することにあったからです。

そして消費社会の中で、お金を持たずに生活していくために私が活用した方法が「ギブ・アンド・テイク」でした。各自が持っているもの、時間、能力などを、お互いに分かち合い、分配するというシステムです。私はドルムントという町に、”ギブ・アンド・テイク・センター”を設立し、ここを交換と分かち合いの拠点としました。4年間、この協会の運営に携わり、実にたくさんのことを学びました。多くの矛盾や問題点が浮き彫りになり、その都度議論し、衝突が起きたこともありましたが、私は「ギブ・アンド・テイク」というシステム、そしてその精神は、現代社会の新たなライフスタイルとなり得ると確信しています。
(本より抜粋)

【僕からの一言】
僕がこのホームページを立ち上げるきっかけとなった、僕にとって大きな本です。
以前からずっと、お金によって色んなことが左右される社会のシステムに疑問も感じ、しかしながら何も具体的なことは出来ずにいました。この本に出会って、大きな希望と勇気をもらいました。きっと何かが出来る。そんな気持ちにさせてくれた本です。
今までの社会の矛盾、自分たちがいかに大きな社会のシステムに心が支配されているか。そんなことにも気づかせてくれた本です。
僕自身も遠い未来にはお金のない社会が必ずやってくると強く感じています。僕自身の活動がその一助になれば。心よりの幸せです。

「「待ち」の子育て」山田桂子(著)農山村文化協会

新築のホールのヒノキの床に、ふとんを敷いて、子供たちが昼寝をしている。涼しい風がそよそよと絶え間なく吹き抜けて、日焼けしたその肌をなで、子守歌のように耳のあたりにたゆたい、とろけるような甘い眠りに誘い込む。

トンボがつーいっと入ってきて、みんなの寝相をひとわたり偵察し、何食わぬ顔で飛び去る。スズメは足音をしのばせ、ちょんちょんちょんと三段跳びして、板のすき間にこぼれた飯粒をひろって歩く。心なしか、セミも声をひそめて、遠慮がちに木陰から子どもらの寝息をうかがっているかのようだ。

ホールの東側の広く空いている場所では、よちよち歩きの子が、まだ眠くないのか、お尻を丸出しにしたまま、素足でひんやりした板の感触を楽しむかのようにトコトコと歩きまわっている。赤ちゃんもふと目を覚ますと、遠くに何か気に入ったものでも見つけたのか、大急ぎでホールの端へ這っていくところだ。どうやらさっき誰かが置き忘れた葉っぱだか木の枝だか、さもなければ風にゆれる木もれ陽の影でもあるらしい。

青い山々が、遠巻きにこれらの光景を眺めて笑っている。どちらを向いてもあくまで澄み渡った空を背に、丸くておだやかな丘の連なりである。

この思い切り自然に向かってひらけた空間は、子どもたちの心も、保母さんたちの心も開放的にするらしい。

焦らず、叱らず、無理じいをせず、ゆったりと、のんびりと、日がな一日水遊び、どろんこ遊び。

雨が降ろうが、風が吹こうが、川遊び、山登り、崖すべり。田植え、田の草取り、稲刈り、畑仕事、動物の世話。

よく遊び、よく食べ、よく寝る。

文字は教えず、習いごとはさせず、けんかは大いに奨励し、野山を駆けめぐって、遊びたいだけ遊んで六年間、あっぱれな、かしこい、わんぱくとおてんばが巣立つのを待つ。

あれでいいだが?寒い日だっても水でぐっしょりになって、どろだらけの、はだかんぼで跳ねまわっている。あれでも先生は、上の学校で勉強してきたずら。もう少し気ィつけたほうがいい」と、地元の人たちもびっくり。

「あいうえお」どころか小学校へ行くまでには二〇〇〇も漢字を覚えさせる幼稚園や、おむつをしている子をテレビやコンピューターの前にすわらせて、無理やり何かを教え込もうなんて幼稚園がはやる時代に、これはまた、あまりにも常識はずれじゃないのか――。

この一風変わった保育園の名を、「たけのこ保育園」という。静岡県島田市の中心部から”自然を求めて”わざわざ純農村地帯へ引っ越してきたのである。
(本より抜粋)

【僕からの一言】
子どもたちがのびのびと生き生きと育つ姿が描かれています。
僕自身も、学校に疑問も感じ、不登校になったりして、学校を辞めた経緯があります。以前から教育に関しては強い関心を持っていました。そんな自分にとってはとても興味深く、入りいって読んでしまう本でした。子どもたちの心からの元気な姿は、見ていて読んでいて楽しく、心温まるものがありました。本来の教育という意味で絶対に欠かすことのできない大切な要素がこの本にはあります。
僕自身も、子どもの頃は親から積極的にあれこれ言われ、当時のまだまだ幼い自分ではどうすることもできず、僕自身ではなく親の要素で育たざるを得ない環境でした。そんな中で待ってほしいという欲求は常に心の奥にあったと思います。親自身も、待てないことで多くのものを失ったと思います。例えば、子どもの自ずからの行動を見て、わが子のことを理解し知るということです。子どもを知らないまま何かを与えるので、当然子ども本人の欲するものとは違います。そうするとそれが、子どもの反発として現れてきます。そうすると、より親子関係は複雑になり修復困難になります。親は長年子どものために精一杯頑張ってきたことが、すれ違いばかりだった。それではあまりにも悲しすぎます。
この本が読む人にとって、「待つ」ということの意味について考える大切な一助になればと思います。

「看取り士」柴田久美子(著)コスモ21

抱きしめて送り、私のこの腕の中で最期の呼吸を終えたその人が私にその身体を使って教えてくれたこと、その尊い経験を私は私一人のものとはせず、一人でも多くの方に伝えたい。

この本には『看取り士』というタイトルがついていますが、言い換えれば、旅立つ人の本当の気持ちを伝える本であるとも言えるでしょう。

しあわせに死ぬためにはどうすればいのか、本書を通して一人でも多くの人が「看取り士」という存在を知り、生きる意味や死の意味に気づいていただければ幸いです。
(本より抜粋)

【僕からの一言】
皆様は死についてどう考えていますか? 死を怖いものだと考えていますか?確かにそうとらえても無理はないでしょう。 僕も以前はそうでした。 死を怖いという気持ちを僕は、死への執着だととらえています。 inserted by FC2 system